大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和38年(ラ)96号 決定 1963年8月16日

抗告人(第九〇号事件) 石田弥一郎 (第九六号事件) 有限会社 丸高運輸

相手方 株式会社 正金相互銀行

主文

一  原決定を取消す

二  本件競落は許さない

三  抗告人石田弥一郎の抗告の趣旨第二、三の申立はこれを棄却する

四  抗告費用は相手方の負担とする

理由

一  抗告人らの抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。

二  抗告人石田弥一郎の抗告理由追加申立並びに抗告人有限会社丸高運輸の抗告理由について。

(一)  抗告人石田弥一郎は、記録によれば、本件不動産の所有者で競売法第二七条の利害関係人であることが明らかであり、本件競落許可決定によつてその所有権を喪失すべき地位にあるから、競売法第三二条第二項民事訴訟法第六八〇条第一項の競落の許可により損失を被むるべき場合に当るので、原競落許可決定に対し抗告をなしうることは当然である(大審院大正五年五月三〇日決定民録二二輯一〇七八頁)。また本件不動産中の建物は、共同住宅で昭和三六年七月二八日建築されたものであることは、記録中の建物登記簿謄本により明らかであり、この事実と抗告会社支配人小河原清審尋の結果、抗告人提出の家屋賃貸借契約証書とによれば、抗告人有限会社丸高運輸は、昭和三六年一二月一日抗告人石田弥一郎から賃料一ケ月金二三、〇〇〇円、賃借期間三年(いわゆる短期賃貸借)、敷金一〇万円の約定で賃借引渡しを受け、抗告会社の社員寮として本件建物を使用していることが認められる。そして登記ある賃借権者もしくは借家法の規定する家屋の引渡しを受けた賃借権者は、競売法第二七条の利害関係人に当ると解するのが相当である(大審院昭和一〇年(ク)第七七七号同年七月一三日第三民事部決定、同昭和二年(ク)第一〇五〇号同年一二月七日第三民事部決定参照。これに反して以上のごとき賃借権者でも、前記第二七条の利害関係人に当らないとする説は当裁判所の採用しないところである。)から、抗告会社が、原競落許可決定により損失を被るべき場合においては、同決定に対し適法に抗告をなしうべきである。

ところで記録によれば、相手方銀行において、本件不動産に対する抵当権実行に基づく競売の申立書に賃貸借なしと記載し、かつ、宅地建物の一括競売を申立てたため(鑑定人柴義徳の本件不動産の評価書にも、本件建物の使用者は所有者本人であると記載してあるが、共同住宅の構造を有する本件建物を所有者本人が全部使用することは、常識上も考えられないことである。)、裁判所も競売期日の公告になんら賃貸借についての記載をしないで、賃貸借がないものとしてこれをその敷地たる宅地とともに一括競売に付し、小倉区西ケ丘六四〇番地高尾キクヱにおいて宅地建物を合わせて最高価金一一〇万円をもつて競買を申出たので、原裁判所は同人に競落を許す決定を言渡したのであるが、相手方銀行は抗告人石田弥一郎との間に本件不動産について、昭和三六年八月三一日銀行取引契約に基づく同日附債権元本極度額金一〇〇万円の根抵当権設定契約をなし、即日その旨登記を終えていることが認められるから、抗告会社の有する本件建物の短期賃借権は、相手方銀行においてその賃貸借の解除を訴求しないかぎり、相手方銀行従つてまた建物の競落人にも対抗しうべく、かかる対抗力ある短期賃借権も競売期日の公告に掲記することを要するのは言をまたないので、競売期日の公告に右賃貸借の掲記されないことを違法とする建物所有者たる抗告人石田弥一郎の論旨は理由がある(大審院昭和七年(ク)第一二四号同年二月二四日第四民事部決定、民集一六一頁参照。これに反して、事実賃借権があるのに、賃貸借がないとして競売される場合は、賃貸借があると公告して競売されるよりも、より高価に競売されるので、所有者は利益をこそ受けても不利益を被らないから、民事訴訟法第六八〇条第一項の損失を被むるべき場合に当らない旨の反対説があるが、採用しがたい見解である。前説明のとおり、所有者は競落許可決定によつて所有権を失うという損失を被むる地位にあるので、高価に競売されるということは高価で強制的に所有権を失うことを意味する以外のなにものでもない。そればかりでなく、競売期日の公告に賃貸借を掲記しないという違法が存する場合は、裁判所は職権をもつても競落を許すべきでないことは、民事訴訟法第六七四条第二項第六八一条第二項等の規定の解釈上容疑の余地がない。)

つぎに抗告会社は、短期賃貸借の期間三年の間は、前記競落人高尾キクヱに対し、賃借権をもつて対抗しうるけれども、右期間の満了とともに賃借権の存在を右競落人に主張し得ない事情にあるから、抗告会社は、前示第六八〇条第一項の競落許可決定によつて損失を被むるべき場合に当るものといわなければならない。けだし、競落許可決定という事実がないとすれば(抵当権者の民法第三九五条の規定による賃貸借の解除ということもあるが、いまこの点はしばらく措く)、抗告会社は賃貸人石田弥一郎に対しては、賃借期間満了の場合において借家法第二条の規定に従いその賃借権について法定更新による保護を受けうる利益を有するからである。よつて抗告会社の論旨も理由がある。

よつて、原決定中建物の競落を許した部分はこれを取消し、同建物の競落は許さない旨の決定をなすべきである。

(二)  つぎに宅地の競落許可決定について考える。

前認定のとおり本件宅地は本件建物の敷地であり、また記録によれば宅地は三〇坪六合五勺、建物は建坪二〇坪、外二階一九坪二合五勺の共同住宅であるから、宅地の地積から建物の床面積を控除した一〇坪余の地面だけでは独自の利用、交換価値は少なく、本件宅地は建物の敷地たる効用を有するに過ぎないと推認され、従つて相手方銀行においても宅地建物の一括競売を求める申立てをなし、原裁判所もこれを一括競売に付したものと思考されるところ、かような関係にある宅地と建物とが、一括競売に付されて最高価競買の申出があつた場合に、建物について競落を許すことのできない理由が存するために競落を不許可にする場合は、宅地について競落不許可の独立の理由が存しないときでも、一括競売の性質上その競落を許さないと解するのを相当とする。

これを一括競買人の立場から見るに、宅地及び同地上の建物を一括競買したのに、肝要な建物は取得できないで、法定地上権の負担ある宅地のみを取得するということは、その毫も意図しないところであろうし、また建物所有者の立場から見るに、法定地上権を伴うとはいえ、借地上の建物は敷地所有者の有する建物よりも、不安定な建物であることは疑のないところであるから、本件程度の宅地建物の競売においては、同一所有者の宅地と建物を同時に買受ける場合に比して、買受けを希望する人も多くなく、自然競売価額も安くなるのが通常であるから、建物所有者にとつても、宅地のみの競落を許すことは、決して利益な取扱いではないのである。

三  抗告人石田弥一郎の第一の抗告理由について。

そして右の事情を抗告人石田弥一郎の第一の抗告理由と合わせ考察するに、同抗告人がそのいうように相手方銀行に対して、元金五〇万円のみの債務を負担するに過ぎないと仮定すれば、本件建物のみの競落代金をもつて、優に相手方銀行の有する債権及びこれに優先する債権並びに本件競売手続費用を満足させうることは記録上明白であるから、本件宅地を競売に付する必要はなんら存しないといわなければならない。競売手続において最低競売価額というのが存在するのは、少くとも最低競売価額以上の価額をもつて、競売されることを前提として競売に付するのであるから、建物の競売価額だけで、すでに債権額及び競売手続費用を償却しうる限り、宅地を競売に付する必要がないばかりでなく、これを建物と同時に競売に付することはできないものと解するのが相当である。もつとも相互密接な関係に立たない数個の不動産を競売に付して、その中ある不動産の競落代金をもつて債権額及び費用を満足させうる場合に、右の不動産のみについて競落を許し、他の不動産について競落を許さない決定をすることは、右の他の不動産については、たんに無益な競売手続を進めたにとどまるけれども、本件建物と宅地のように、宅地上に建物が存在するという互に密接な相関関係を有する不動産において、競落を許すべきでないことの判然としている宅地をも、競売不動産として競売期日の公告に掲記することは、競売期日の公告に無用の公告をなしたという以上に出で、競売すべからざる不動産を競売不動産として公告し、競買申出人をして公告にかかる全不動産を競買して、その所有権を取得しうるものと誤解させ、民事訴訟法第六五八条の法意に反する不法の公告であるといわなければならない。(同旨当裁判所昭和二九年四月一五日決定、東京高裁昭和三〇年三月三一日決定参照)。しかして、抗告人石田弥一郎が相手方銀行に対して負担する債務の額は、いまだ明らかでないがこれを当裁判所で審理するまでもなく、原決定の不当であつて取消しを免れないことは、先に(一)(二)において説示するとおりであるから当裁判所はその審理をしない。なお同抗告人は、抗告の趣旨第二、第三項の裁判を求めているが、その理由のないことは説明するまでもない。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判官 池畑祐治 秦亘 佐藤秀)

別紙

抗告の趣旨

一、抗告人は相手方請求の金円の借用はしておらない。

故に本件競落許可決定はこれを取消す。

二、福岡地方裁判所小倉支部昭和三八年(ケ)第三二号不動産競売手続開始決定はこれを取消す。

三、相手方の競売申立はこれを棄却する。

第一の抗告の理由

一、抗告人相手方間の福岡地方裁判所小倉支部昭和三八年(ケ)第三二号不動産競売事件による。

<1> 小倉区朝日ケ丘三丁目

壱番の壱〇

一、宅地参拾坪六合五勺

(疎明書第一号証)

<2> 同所

同番地の壱〇

家屋番号朝日ケ丘参丁目壱番の壱〇

一、木造瓦葺弐階建共同住宅壱棟

建坪 弐拾坪

外弐階 拾九坪弐合五勺(共担)

(疎明書第一号の壱証)

は抗告人が製鉄所退職に当り、今後の生活維持上必要なる収入源とするため<1>の土地は昭和三五年一二月二七日購入<2>の家屋は共同住宅として昭和三六年七月二八日建築、昭和三六年七月三一日登記を済ませた。

二、処が抗告人は前項の中<2>の共同住宅建築に当り建築資金が手許不如意となり建築請負人たる件外人加藤一彦に金策の方法を相談したところ、契約金払込みの関係もあつたので(疎明書第二号証)左記人物を紹介してくれた。

北九州市小倉区西ケ丘

諸藤芳雄

三、そこで抗告人は直ちに同氏方を代人を使わしめて種々と相談を重ねたところ、自分が相手方銀行小倉支店と取引があるから自分又は他人より借りた定期担保で百万円を借りてやろうということで別紙疎明書第三号証の如き手続に於て、

昭和三六年四月六日一回金五拾万円(疎明書第四号証)を借入れすることが出来て諸費差引現金四拾八万七千壱百弐拾円を相手方小倉支店に於て抗告人の代人妻薫子が受領した。

第二回金は根抵当権設定後にと云う相手方小倉支店員と件外者諸藤芳雄との間の話合が整つていたと云う。

右の如き次第で昭和三六年八月三一日土地家屋共に福岡法務局小倉支局受付第壱弐壱弐九号を以て根抵当権設定を左の如く経由した。

原因 昭和参拾六年八月参拾壱日銀行取引契約に基く同日附根抵当権設定契約。

根抵当権者 福岡市大名町九拾六番地の壱

株式会社正金相互銀行

債権元本極度額金壱百万円

利息

遅延損害金日歩金五銭

債務者 戸畑市中原千参拾弐番地の壱

石田弥一郎

共同担保

家屋番号同所壱番の壱〇の建物

右登記する。

四、然るに第二回金の五拾万円は昭和三六年九月一日抗告人不知の間に相手方から件外人諸藤芳雄に渡されている事実が計算書(疎明書第五号証)の送達により判明し更に其金額は差引現金拾五万六千七百八拾八円であつたことが当の件外者諸藤芳雄の発行した預り証(疎明書第六号証)により知り抗告人は実に驚いた次第であつた。

五、抗告人が前述の如く加藤一彦に不足額金の借入れを相談し最終的に銀行借入の決意に踏み切つた理由は共同住宅が完成すれば入居者を募集して最初の権利金、其後の賃料等の取入によつて掛金弁済が出来るものと計画してやつた事が結果的に無意味に期し、工事は借入金が暗に処理された為め進捗せず種々と手違いを生じて抗告人は莫大なる損害を蒙るに至つた次第である。

六、此の様に第二回金五拾万円が抗告人不知の間に貸出しが出来ている事実について、その経緯について糺したところ件外者諸藤芳雄は元来無免許による街の所謂高利貸屋で、抗告人が建築を依頼した、加藤一彦に対し事業資金として融資している、貸金回収を意図の下に抗告人に対し相手方銀行から金策の世話をしたものである事実が後日判明した。

七、然るに件外人同志の内部事情については抗告人は知るところでなく、抗告人は自己所有の物件に対し、借金当時銀行側の要望通りに極度限額金壱百万円の根抵当権を設定し然かも借主たる抗告人に対し一言の話もなく且つ承諾も受けず件外者たる人物に対して不明確なる計算書により五拾万円の中差引残拾五万六千七百八拾八円を渡して、根抵当権による極度額の全金壱百万円を貸出した如くしている相手方銀行の行為は不明瞭極まる行為である、そこで抗告人は五拾万円(第一回金)以外は只の壱銭たり共借用しておらない。

故に昭和三八年一月一四日付債権確定並に抵当権実行通知書(疎明書第七号証)に対して抗告人は昭和三八年一月一七日書留内容証明郵便を以て相手方の通知書内容を拒否した、然るに相手方は何等考慮することなく競売申立により競売を進行せしめているものであつた。

故に右理由に於て競落許可決定は許さるべきでなきものと信じ抗告人は不服であるから本件抗告をなす次第である。

抗告理由追加申立書

一、法的根拠

(1)  競売法第二十四条及民事訴訟法第六百四十三条第一項第五号。

(2)  競売法第二十九条及民事訴訟法第六百五十八条第三号、同法第六百七十二条第四号。

抗告の理由

八、福岡地方裁判所小倉支部昭和三八年(ケ)第三二号不動産競売事件に基き競落された抗告人所有名義の物件<2>の建物(別添第一号証の壱)は用途が共同住宅である点登記により明確である。

事実上共同住宅(アパート)で本建物は昭和三十六年十二月一日を以て家屋賃借契約証書(第九号証)に基いて有限会社丸高運輸(代表取締役高田知夫)と参ケ年間の契約を以て賃貸中で、同社従業員四ケ世帯が入居中である。

要する処

相手方は競売申立に際して競売法第二十四条及民訴法第六百四十三条第一項第五号に基き共同住宅たる事実が明確なるについて当然賃貸借契約の有無及これに附随する期限並に借賃敷金等の調査をしてその要件を証明する証書を添付すべきに不拘これを調査添付せず、民訴法第六百五十八条第三号に欠け、同法第六百七十二条第四号に定められたる所謂「競売期日の公告に第六百五十八条に掲げたる要件の記載なきこと」に該当するから前に提出せる抗告理由と併せ本件競落許可決定は不許たるべきものであると確信する。

右追加申立をする。

申立の趣旨

右債権者、債務者間の福岡地方裁判所小倉支部昭和三八年(ケ)第三二号不動産競売事件について同庁が昭和三八年五月三〇日云渡した不動産競落許可決定はこれを取消す

旨の御裁判を求めます

申立の理由

一、右債権者より債務者に対する約束手形金債権百万円の執行として別紙目録<省略>記載物件の福岡法務局小倉支局昭和三六年八月三一日受付第一二、一二九号の登記に依る抵当権実行として福岡地方裁判所小倉支部に昭和三十八年二月二日競売申立が為され同庁昭和三八年(ケ)第三二号事件として係属し同年五月二三日競売が為され同月三〇日競落許可決定がなされたるものです

二、而し乍ら右競売手続に依ると左記の如く事実を隠幣したる又虚偽の報告がありこれに基いて競売がなされたる不当なる事実があり違法行為が為されて居るものであります

即ち

本件抗告人は本件建物の建築当時より此の建物を賃借して居る賃借人であるに拘らず競売申立記録上何等の記載も調査もなされていないものです申立人会社の社員寮として本物件建物が出来上つた昭和三六年秋より敷金一〇万円と権利金五万円を差入れ毎月賃料二三、〇〇〇円とし期間を昭和三九年十二月末日迄の約定で賃貸借契約を締結の上入居して居るもので建物の一部に家主たる債務者は居住はして居るも申立人の方でそのほとんどを賃借占有し現に入居して来て居るものです

にも拘らず右賃借し

入居後丸一年数ケ月を経過したる昭和三八年二月二日に債権者は申立書に明白なる如く 賃貸借の関係は本物件には無いと虚偽に記載し申立をなし

これに基いて賃貸借関係の取調をなす事無く進行し

裁判所より鑑定を命ぜられたる鑑定人柴義徳も評価書に於て

利用状況として

建物の使用人は所有者(債務者)本人である

とこれ又申立人の件に何等触れずに評価報告をなして居るもので右両事実を以て記録上何等賃貸借干係無いとの念をいだかせるものです

三、右申立人の賃借の事実は

債権者に於て申立の際調査しても且鑑定人が調査しても明白なる事実であるに拘らずそれをなしと報告せるは何等の調査もなさず前記の如く報告をなして居るとしか認められず若し所有者に会う事も無く調査もなさず鑑定人が想像を以て其の様なる報告を裁判所に為して居るものとすれば

果して本件鑑定人は物件の現地に赴いたるものかと謂はざるを得ない

何故なら現在まで申立人は競売になつて居る事実を知らなかつたからで

若し賃貸の取調に執行吏か、又評価の取調に鑑定人が訪問して居るのなら申立人も競売手続の事実を知る事も且申立人の賃借の事実も明白に記載されるものであります

右事情から本件鑑定の結果について疑偽を感ずるもので

調査不充分であつた事は疑う余地は無く

物件につきどれだけの調査をなしたるものかときゝたいものです利用状況についても、使用人は本人であると断定し

現場に赴き誰と会つて確めたとの文言は何も無い

とすれば充分の鑑定といわれず評価額についても適式の評価額たるものか疑はれるものです

いづれにしても申立人は途中より入居したるもので無く

本件建物が配管工事をして居るうちから入居した建物新築と同時に当初より賃借したる適式の賃借人で且現実に入居占有して居るもので建物中その一部に所有者が居住していたが間借としても近時建物の賃貸借については消極説より積極説に移行し

大阪高裁昭和三一、五、二一判決にも

「借家法一条にいわゆる建物とは必ずしも一戸独立の建物のみを指称するものではなく、賃貸借の目的が一戸の建物の一部であつても当該賃貸借の部分が障壁その他によつて他の部分と客観的に明白に区画せられ、独占的、排他的支配を可能ならしめる構造と規模を有するものであるときは、尚これを同法条にいう建物と称するに妨げないものと解するを相当とする」

との判示があり申立人が賃借人としての権利者である事には異論はないものでこれを無視して且賃貸借無きものとして申立且、鑑定し競売せるは失当であり

茲に本申立に及びました

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例